何か最近ウサギさんの便が小さいなぁ、そういえばあまり食べてないかも。
ちょっと調子悪いのかなぁ。
しばらく様子をみて、回復しなければ病院へ行こうか。
ちょっと待ってください!ウサギさんが食べないのは超重症です!すぐに動物病院へ行きましょう!
今日はウサギさんの食欲不振に関連した消化管運動低下について書いていきます。
原因
”ウサギさんの食事”でお伝えしたとおり、ウサギさんの消化管の健全性にとって繊維質は非常に大切です。牧草以外のペレットやフルーツなどのおやつが多い食生活はウサギさんの消化管の運動を低下させます。
ウサギさんの適切な食事内容についてはこちら
またウサギさんはストレスに非常に弱い動物なので、新しいペットが増える、食事内容が変わる、引っ越したなどの、最近のストレスの多い出来事も原因となり得ます。
高カロリーなペレットを多く食べたり、運動をしなくなることで太りすぎることも消化管の運動を低下させます。
歯が伸びすぎて舌や頬に刺さることで食事が食べられなくなり、結果的に消化管の運動が低下することもあります。
グルーミングした毛は、消化管の運動が正常であれば便から排泄されますが、運動が低下した消化管では、消化管が詰まる原因になることがあります。
症状
食欲不振が最も一般的な症状です。最初は全く食べなくなるというよりは自分の気に入った物は食べるがそれ以外は食べなくなり、いずれ全く食べなくなります。
お腹が痛くなり動きが悪くなります。動くのを嫌がってじっとします。
便は小さくなり、いずれ完全に排便しなくなります。
消化管の運動が低下するあるいは停止すると、消化管内容物から水分が吸収されることで内容物が硬くなり、腸内容物の異常な発酵でガスが貯留するようになります。
検査
食欲不振であまり排便しなくなった場合、身体検査や血液検査、および画像検査によってウサギさんの全身状態を把握します。
身体検査では全身をくまなく診て、歯の伸びすぎがないか、腹部触診で消化管内容物はどのような状態か、ガスはどの程度溜まっていそうかなどを評価します。
血液検査では全身状態が悪くなりそうな腎臓病や肝疾患がないかを評価します。
レントゲン検査では臼歯の伸び具合、消化管内容物の状態などの形態的評価を実施します。
治療
消化管の運動が低下している状態が確認され、原因疾患があればそちらを治療します。歯が伸びていれば歯きりを実施したり、全身性疾患があればそちらを治療します。
それと並行して点滴治療を中心とした内科治療を実施します。
消化管運動促進の薬、鎮痛剤を混ぜて皮下点滴を実施し、脱水を補っていきます。また、消化管の運動促進の薬、鎮痛剤を飲み薬として処方します。軽症の場合は通常これで良くなってくれます。
より重症な場合は静脈点滴で入院治療を実施します。消化管運動促進の薬、鎮痛剤を注射で投与します。
消化管の運動低下の場合は、手術による低体温、麻酔薬の使用、手術で生じる疼痛によって状況が更に悪化するため、手術は禁忌です。
明らかに異物を摂取し、あるいは異物で消化管が閉塞して、内科治療に反応しない場合は手術を実施する必要があります。
治癒した後は、牧草を中心とした適切な食生活に切り替えられるように頑張りましょう!
費用の目安
費用については、自由診療であるため、動物病院によって異なりますが、私個人の感覚的な費用を記載します。実際には担当の獣医師さんとよくご相談ください。
- 初期費用
- 血液検査:1万~1万5千円ぐらい
- レントゲン検査:7千円ぐらい
- 点滴治療:4千円ぐらい
- 投薬(一週間分ほど):2千円ぐらい
- トータルで2万~2万5千円ぐらいでしょうか
- 点滴通院
- 点滴費用:4千円ぐらい
ウサギさんが食べないのは緊急状態!
不適切な食生活が原因となっている場合が多い!
すぐに内科治療を実施しすれば回復することが多い!
内容に関して、アップデートや訂正があれば更新していきますので、よろしくお願いします。