猫下部尿路疾患(FLUTD)とは?症状・検査・治療法・費用について獣医師が解説

うちのネコちゃん、最近トイレによく行くわ。
それにずっと座って鳴いているのよね。
皆さん、こんにちは!
ネコちゃんがトイレに頻繁に行く、排尿姿勢をとっているのに尿が出ない、あるいは少量しか出ない。さらには血尿が見られる。
このような症状を目撃したことのある飼い主さんも多いのではないでしょうか?
今回は、ネコちゃんが動物病院へ来院する理由として比較的多い「猫下部尿路疾患(FLUTD)」についてまとめてみようと思います。
排尿障害は命に関わることもある病気です。
トイレに何度も行くのに尿が出ていない場合は、早めに動物病院へ相談するようにしましょう!
猫下部尿路疾患とは?

猫下部尿路疾患とは、その名の通り猫の下部尿路(膀胱や尿道)に生じる疾患の総称です。
具体的には、特発性膀胱炎、結晶や結石による排尿障害、感染性膀胱炎などが含まれます。
この中でも最も多いのが特発性膀胱炎で、全体の6~7割を占めるとされています。
「特発性」とは、はっきりとした原因が特定できないことを意味しますが、ストレスの多い生活、運動不足、飲水量不足、肥満、トイレの砂が気に入らないこと、トイレが汚れていることなどが複合的に関与していると考えられています。
猫下部尿路疾患で必要な検査

必要な検査は、ネコちゃんの全身状態によって異なります。
食欲や元気があり、排尿もできていて膀胱内に尿がほとんど貯留していない場合は、血液検査までは必要ないこともあります。
私がお勧めする検査は、腹部エコー検査と尿検査です。
腹部エコー検査では、腎臓や尿管、膀胱の状態を確認します。結石や血餅を疑う所見がないか、膀胱壁の肥厚が認められないか、腎盂の拡張や腎臓の腫瘍などの異常がないかをチェックします。
尿検査では、試験紙を用いて潜血や尿蛋白の有無を確認し、さらに尿を遠心分離して結晶や細菌感染を疑う所見がないかを調べます。
一方で、全く排尿できておらず、食欲や元気も低下している場合には、これらに加えて血液検査が必要になります。
もし急性腎障害を疑う所見が認められる場合には、入院治療をお勧めすることもあります。
特に高カリウム血症が認められている場合には、不整脈や心停止を引き起こし、命に関わる可能性があります。
猫下部尿路疾患の治療方法

治療方法は、ネコちゃんの状態によって大きく異なります。
食欲や元気があり、排尿もできている場合は、通院での治療が可能なことが多いです。
皮下点滴によって水分補給を行い、尿を薄めることで膀胱への刺激を軽減していきます。
また、尿中に結晶が認められる場合や感染が疑われる場合には、生理食塩水による膀胱洗浄を行うこともあります。
ご自宅では、トイレを清潔に保つことが大切です。トイレの砂やトイレ自体を見直したり、飲水場所を増やしたり、水飲み容器を変更したりすることで飲水量の増加が期待できます。
さらに、爪研ぎや隠れ場所など、ネコちゃんが安心して過ごせる環境を整えることもストレス軽減につながります。
尿路トラブルに配慮した療法食を使用することも重要です。療法食には尿のpHを調整したり、飲水量を増やしやすくしたりする工夫がされています。
一方で、食欲や元気がなく、急性腎障害を疑う所見が認められる場合には、入院治療が必要になることがあります。
その場合は尿道カテーテルを設置し、静脈点滴によって老廃物の排泄や電解質異常の改善を図ります。
特に高カリウム血症が重度の場合には、インスリンと糖液を使用して血中カリウム濃度を一時的に低下させる治療を行うことがあります。
これらの治療を行っても数日以内に腎機能の改善が認められない場合には、予後が厳しい可能性があります。
また、オスのネコちゃんでは尿道が著しく狭窄していたり、尿道閉塞を繰り返したりする場合に、会陰尿道瘻形成術(尿道をメスの様に作り替える手術)を検討することがあります。
猫下部尿路疾患は再発しやすい病気です。一度発症したネコちゃんは再発の可能性を念頭に置き、症状に気付いたら早めに動物病院を受診するようにしましょう。
猫下部尿路疾患の診療費はどれぐらい?
費用についてですが、動物病院は自由診療のため、地域や病院によって大きく異なります。
以下は私の勤務する病院やこれまでの経験をもとにした、おおよその目安です。実際の費用については、かかりつけの動物病院へご確認ください。
【排尿できている場合(通院治療)】
- 腹部超音波検査:4,000~5,000円程度
- 尿検査:2,000円程度
- 皮下点滴:3,000~4,000円程度
- 内服薬:2,000~3,000円程度
- 療法食:4,000~5,000円程度
- 合計:15,000~20,000円程度
【排尿できていない場合(入院治療)】
- 血液検査:10,000~15,000円程度
- 腹部超音波検査:4,000~5,000円程度
- 尿検査:2,000円程度
- 尿道閉塞解除処置:15,000~20,000円程度
- 入院費用(点滴治療を含む):1日15,000円程度
- 退院までの総額:100,000~200,000円程度
【手術が必要な場合】
会陰尿道瘻形成術などの手術が必要な場合は、上記費用に加えて100,000~150,000円程度の追加費用が発生する可能性があります。
- ネコちゃんのオシッコが丸1日出ていないのは異常!すぐに動物病院へ!
- 特に元気や食欲の低下、嘔吐などが認められる場合は、急性腎障害や高カリウム血症を起こしている可能性があります!
- 猫下部尿路疾患の中で最も多い特発性膀胱炎は、生活習慣的な側面があり、ストレスや生活環境が関与していると考えられています。トイレ環境や飲水環境を整えることで、症状の改善や再発予防につながる可能性があります!
いかがでしたか?少しはお役に立てましたでしょうか?
最後までご覧いただき、ありがとうございました!
修正が必要な箇所や不適切な表現などがありましたら、お気軽にご指摘いただければ幸いです。
今後ともよろしくお願いいたします。


