貧血について

うちの子、最近元気がないし、なんだか歯ぐきも白っぽい気がするのよね。
ひょっとしたら貧血になっているのかもしれません。
貧血といっても、色々と種類があるんですよ。
貧血について学ぶことは、どう治療するのかも含めて、とても大きな意味があるんです。
飼っているワンちゃんやネコちゃんがなんとなく元気がなく、歯ぐきや舌がいつもより白っぽく見えたことはありませんか?
そのような症状の背景には、貧血が隠れていることがあります。
貧血とは、血液中の赤血球やヘモグロビンが減少し、全身へ十分な酸素を運べなくなった状態です。
ただし、貧血は病名ではなく、あくまで身体の中で何らかの異常が起きていることを示すサインです。
出血によるものなのか、赤血球が壊されているのか、それとも十分に作られていないのかによって、原因や治療法は大きく異なります。
今回は、犬や猫の貧血について分かりやすく解説していこうと思います。
目次
症状
貧血と一言に言っても、原因や経過によって症状は様々です。
貧血になると、元気がない、疲れやすい、食欲が落ちる、歯ぐきや口唇の色が薄くなるなどの症状がみられます。また、歯ぐきや口唇、耳介などに黄疸が認められる場合もあります。
また、同じ貧血の程度であっても、急な事故などで急速に失血した場合は、徐々に貧血が進行していく場合よりも、貧血の身体への影響が大きく、全身状態が悪くなります。
例えば、交通事故などに遭って急速に出血して、急速に貧血になった場合、貧血の影響は強く出ます。一方で、慢性腎不全が原因で少しずつ貧血になった場合、同じ貧血の重症度でも、貧血が全身に与える影響は少なくなります。これは貧血に対して身体が順応するからです。
一般的には貧血が進行し、HCT(ヘマトクリット値)が20%前後になると、食欲低下や元気消失などの症状が目立ってくることが多い印象があります。
貧血の症状を左右する2つの要素
- 貧血の重症度(HCTやPCVの値)
- 貧血の進行速度(急性か慢性か)
貧血が見つかったら次に何を調べるの?

貧血が認められた場合、まず「身体が新しい赤血球を作ろうとしているかどうか」を評価します。
身体がしっかり反応している場合を「再生性貧血」、反応が乏しい場合を「非再生性貧血」と呼びます。
再生性貧血であれば、どこかで出血しているか、赤血球が壊されている(溶血)可能性が高くなります。
出血の原因としては外傷、消化管出血(吐血、黒色便、血便など)、血尿、腫瘍からの出血(体表からの出血や、血胸、血腹など)、マダニやノミなどの寄生虫による吸血などが考えられます。
一方、溶血の原因としては免疫の異常や中毒、感染症などがあります。
反対に非再生性貧血では、鉄分など造血に必要な材料の不足、腎疾患、骨髄の異常などが疑われます。
このように、貧血が見つかった後は、その原因を探すためにさらに検査を進めていくことになります。
貧血の分類
- 再生性:出血か溶血
- 非再生性:腎不全や鉄欠乏、骨髄疾患など多岐にわたる
治療方法

再生性貧血の治療
再生性貧血では、まず出血や溶血の原因を取り除くことが重要です。
例えば出血が原因であれば止血や寄生虫の駆除を行い、溶血が原因であれば感染症や免疫異常など、それぞれの原因に応じた治療を行います。
身体が十分に赤血球を作る能力を保っているため、原因を取り除くことができれば改善が期待できます。
非再生性貧血の治療
非再生性貧血では、身体が十分に赤血球を作れない状態になっています。
そのため、腎疾患や栄養不足、慢性炎症、骨髄疾患などの原因を調べ、それに対する治療を行います。
再生性貧血と比較すると、原因の特定や治療に時間がかかる場合があります。
重度の貧血では輸血が必要になることも
再生性・非再生性を問わず、重度の貧血では輸血を行うことがあります。
輸血は不足した赤血球を補うことで一時的に全身状態を改善する治療ですが、根本的な原因を治療するものではありません。
非再生性の場合は原因が解消しない限り再び貧血が進行する可能性があります。
そのため、輸血と並行して貧血の原因を調べていくことが重要になります。
低酸素状態を補助するために、酸素室の使用が必要になる場合もあります。
費用の目安

貧血の場合に、診断・治療にかかる費用はピンからキリまであると思います。ここでは様々なことを想定した私個人の感覚的な費用をご紹介します。
実際の費用についてはかかりつけの動物病院さんで確認していただければと思います。
- 初期費用(体調不良の原因が貧血と分かるまでに必要な検査):3万円ぐらい
- 入院治療の場合(一週間程度の入院):入院から退院まで20万~30万円ぐらい(酸素室の利用や、食欲不振の支持療法としての点滴入院、必要な検査や治療を含めて)
特に非再生性の場合は手を尽くしても、予後が悪い場合がありますので、それも含めてかかりつけの獣医師さんとよくご相談し、納得のいく診療を受けるようにしていただければと思います。
貧血は病名ではなく、さまざまな病気の結果として現れる症状です。大切なのは、なぜ貧血が起きているのかを突き止めることだと私は考えています。


