イヌの医療

うちのワンちゃん、たまにびっこひきます! 膝蓋骨脱臼について My dog sometimes limps! About Patellar Luxation

Maxime THIBAULTによるPixabayからの画像

うちのワンちゃん、たまに後肢を挙げるわ。

My dog, sometimes he raises his hind legs.

でもそのうちまた着くのよね。

But then he’ll get on his feet again.

うちの子は、動物病院に行ったら膝が外れやすいって言われたわ。

My dog went to the vet and they said his knees luxate easily.

膝蓋骨脱臼は、比較的よく見掛ける疾患です。

Patellar luxation is a relatively common condition.

様子を見ていればいいのか、治療した方がいいのか、対処方法を知っていれば、安心ですよね。

It would be a relief to know how to deal with it, whether it is better to keep an eye on it or treat it.

皆さん、こんにちは!

Hello, everyone!

”気がつけば後肢をたまに挙げるけれども、しばらくするとまた普通に歩いている”といった症状があったり、ワクチン接種やフィラリア予防などで動物病院へ行った際に身体検査で膝が外れやすいですねと言われたことはありませんか?

Have you ever noticed that your dog occasionally raises its hind legs, but after a while it walks normally again, or have you ever been told during a physical examination at a veterinary clinic for vaccinations or filaria prevention that your dog’s knees tend to come off?

今回はそんな膝関節の脱臼についてご紹介したいと思います。

In this issue, I would like to introduce patellar luxation.

膝蓋骨脱臼とは?

G.C.によるPixabayからの画像

そもそも膝蓋骨とは何でしょうか?

What is a patella anyway?

”膝のお皿”とも呼ばれる膝蓋骨ですが、これは大腿四頭筋という大きな太ももの筋肉と、脛骨粗面と呼ばれる膝から下の骨の出っ張りに付着している”種子骨”です。

The patella, also called the “knee plate,” is a “seed bone” attached to a large thigh muscle called the quadriceps and a bony outgrowth below the knee called the tibial tuberosity.

大腿四頭筋の収縮の力を膝から下の骨に上手く伝えて、膝関節が円滑に伸展できるようにしています。

The force of contraction of the quadriceps muscle is successfully transmitted to the bone below the knee to allow smooth extension of the knee joint.

この膝蓋骨は大腿骨の滑車と呼ばれる溝に収まっていることで正常に機能することができるのですが、この溝が生まれつき浅かったり、靱帯や大腿四頭筋の内外のバランスが悪かったり、することで溝に収まりづらい状況が生じます。

The patella is able to function normally when it fits into a groove in the femur called the glenoid. However, the patella may be born with a shallow groove, or the ligaments and quadriceps muscles may be imbalanced between the inside and outside, making it difficult to fit into the groove.

この疾患は先天的な場合が大半です(稀に外傷性のこともある)。

The majority of cases of this disease are congenital (rarely traumatic).

これが膝蓋骨脱臼と呼ばれる病態です。

This is the condition so called “patellar luxation”.

評価

身体検査では膝蓋骨の外れやすさをチェックします。

グレード1膝蓋骨は外れるが、自然に元に戻る
グレード2膝蓋骨は外れるが、用手で戻すことができる
グレード3膝蓋骨は常に外れているが、用手で戻すことができる
グレード4膝蓋骨は常に外れており、用手で戻すことができない

また、体格を評価したり、ご自宅での跛行の有無や歩様についても問診し、院内での歩様もチェックします。

これらのことを総合的に評価し、どのように治療を進めていくのかを判断します。

治療

scotth23によるPixabayからの画像

治療をどうすべきなのかは、ワンちゃんの年齢、症状、体格によって判断します。

The decision on what treatment should be given depends on the dog’s age, symptoms, and size.

成長期のワンちゃんでは、グレードが低くても(グレード2以上)正常な後肢の発達が阻害される可能性があるので、積極的な手術を実施することが好ましいと考えられます。

In growing dogs, even a low grade (grade 2 or higher) may inhibit normal hindlimb development, so aggressive surgery is preferred.

また、跛行が頻繁に生じたり、歩様に影響が出ている場合は積極的な手術が推奨されます。

Aggressive surgery is also recommended if lameness is frequent or affects gait.

手術適応だと判断される場合でも、肥満などの問題がある場合は手術後の経過に影響すると考えられるので、まずはダイエットをしたり、必要に応じて鎮痛剤で痛みを抑えたりしながら、ダイエットが上手くいった状態で手術を受けたほうが良いと思います。

Even if it is determined that surgery is indicated, problems such as obesity are likely to affect the postoperative course of the patient, so it is better to first lose weight and, if necessary, take painkillers to reduce pain, and then undergo surgery when the diet is well controlled.

膝蓋骨の脱臼が重度の状態で長年放置されると、骨同士の摩擦がきっかけとなり関節炎を起こして、膝の靱帯が切れるなどの問題が生じる可能性があります。

If a patella is left severely dislocated for many years, friction between the bones can trigger arthritis, which can lead to tearing of knee ligaments and other problems.

以下に治療方法についての例をご紹介しますが、実際にどのような治療方法を実施するのかについては担当の獣医師の先生とよくご相談されて下さい。

Below are some examples of treatment methods, but please consult with your veterinarian carefully to determine which treatment methods will actually be used.

内科治療必要に応じてダイエット
必要に応じて鎮痛剤の処方
必要に応じてリハビリテーション
外科治療大腿骨滑車溝形成
脛骨粗面転移
脱臼方向へ引っ張る筋肉群の切離
関節包縫縮

費用について About costs

Frantisek KrejciによるPixabayからの画像

実際にどの程度費用がかかるかについてご紹介したいと思いますが、自由診療という側面があるため動物病院によって費用はかなりばらつきがあると考えられます。実際の費用については担当の獣医師の先生とよくご相談し、納得の上で診療を受けていただければと思います。

However, because of the free treatment aspect, the actual cost may vary considerably from veterinary hospital to veterinary hospital. Please consult with your veterinarian about the actual costs and make sure you are satisfied with the treatment you receive.

  • 初診時
    • 診察料:1000円~2000円程度
    • レントゲン検査:5000円~10000円程度
    • 鎮痛剤処方(1週間ほど):1500円程度
  • 手術を受ける場合
    • 術前の血液検査:5000円~10000円程度
    • レントゲン検査(胸部):5000円程度
    • 全身麻酔:10000円程度
    • 手術費用:片足10万円程度
    • 入院費用(2-3日程度):一日10000円程度(恐らく体重によって大きく異なる)
    • 術後検診
      • レントゲン検査:5000円~10000円程度
      • リハビリ:1回5000円~10000円程度

感覚的なところで申し訳ありませんが、参考にしていただければと思います。

Sorry for the sensationalism, but I hope this will be helpful.

まとめ

ワンちゃんが後肢を時折挙上する場合、膝蓋骨が脱臼している場合がある

治療は年齢、症状、体格に応じて実施される

重度の場合は放置することで更なる整形外科的な問題を生じる可能性がある

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

Thank you for reading to the end.

少しでもお役に立てれば幸いです。

I hope I can be of some help.

ABOUT ME
ichiroiitsuka
2006年大阪府立大学卒業 2006年4月~2020年3月実家から通える動物病院に就職 2020年4月~ 広島県三次市の動物病院に就職 現在は広島県三次市の動物病院と広島県庄原市の動物病院を行き来しながら勤務中で、趣味は筋トレと映画鑑賞 このブログでは自分の勉強したこと、筋トレ、映画などについて書こうと思っています。