うちのウサちゃん、最近おりものが出るんだけど、病気じゃないか心配で……。

下痢なのかしら?はっきりわからないわ。

ウサギさんは子宮疾患に罹りやすいので、早いうちの対策が大切です!

雌のウサギさんは子宮疾患にかかりやすい動物です。

実際に、高齢になってから体調不良で来院された際には、すでに全身状態がかなり悪化しており、十分な治療が難しいケースも少なくありません。

そのような事態を防ぐためには、若いうちに避妊手術を受けることが最も効果的な予防策となります。

この記事では、ウサギさんの診療に携わる獣医師である私が、ウサギさんの子宮疾患についてできるだけわかりやすく解説します。

ウサギさんの性別は正しく把握できていますか?

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動物病院では、ウサギさんが来院した際にまず性別を確認します。しかし、飼い主さんからお聞きした性別と実際の性別が異なっていることも少なくありません。

例えば、問診では「男の子」とお聞きしていても、診察してみると陰嚢が確認できず、実際には女の子だったというケースがあります。もちろん、その逆のパターンもあります。

そのため、まずはご自宅のウサギさんの性別をしっかり確認しておくことが大切です。

ただし、若いウサギでは性別の判別が難しいこともあります。

精巣がまだ陰嚢に降りてきていない場合は、肛門と生殖器の間の距離を確認します。一般的に、この距離が長ければ男の子、短ければ女の子である可能性が高いとされています。

また、生殖器をやさしく確認した際に陰茎が突出してくれば男の子です。女の子では陰茎は確認できません。

生後3か月頃になると精巣が陰嚢内に降りてくるため、性別の判別はより容易になります。

陰部からの出血やおりものがみられたら

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雌のウサギさんには生理がありません。

ウサギさんは交尾による刺激で排卵する「交尾排卵動物」であり、犬や人のように周期的な発情や月経はみられません。

そのため、陰部から出血している、おりものが出ているといった場合は、それだけで何らかの異常が疑われます。

ただし、その原因が必ずしも子宮にあるとは限りません。膀胱や尿道など泌尿器の病気によって同様の症状がみられることもあります。

原因を調べるためには、腹部レントゲン検査や腹部超音波検査(エコー検査)、尿検査などを行います。

これらの検査によって子宮疾患が強く疑われる場合には、手術による治療が検討されます。その際には、血液検査や胸部レントゲン検査を実施し、全身状態が麻酔や手術に耐えられるかどうかを評価します。

ウサギでみられる主な子宮疾患としては、

・子宮腺癌
・子宮水腫
・子宮内膜過形成
・子宮筋腫
・子宮蓄膿症

などが挙げられます。

なかでも子宮腺癌は最も発生頻度が高い疾患とされており、未避妊の雌では4歳を超える頃から発生率が大きく上昇すると報告されています。

子宮腺癌が進行すると、慢性的な出血による貧血から食欲不振や元気消失を起こしたり、肺へ転移して呼吸が苦しくなったりすることがあります。また、腹腔内へ播種した場合には根治的な治療が難しくなることもあります。

このように、症状がはっきり現れてから対処するのでは手遅れになってしまう場合があるため、早期発見と予防が非常に重要です。。

避妊手術は子宮疾患の最も有効な予防法です

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子宮疾患を予防するためには、若いうち(生後6か月~1年頃)に避妊手術を行うことが有効です。

避妊手術には子宮疾患の予防効果が期待できるだけでなく、発情や偽妊娠に伴うストレスを軽減できるというメリットもあります。その結果、ウサギさん自身の生活の質が向上し、飼い主さんとのより良い関係づくりにもつながるでしょう。

避妊手術を受けていない雌のウサギさんでは、妊娠していないにもかかわらず妊娠しているかのような行動を示す「偽妊娠」がみられることがあります。

偽妊娠では、自分の毛を抜いて巣材にしたり、巣作り行動をしたり、神経質になったりすることがあります。

また、子宮疾患が疑われる場合にも、避妊手術(卵巣子宮摘出術)が第一選択の治療となることが一般的です。

ただし、子宮腺癌がすでに肺へ転移している場合や、全身状態が著しく悪化しており麻酔や手術に耐えられない場合には、手術が適応とならないこともあります。

このような状況を避けるためにも、健康な若いうちに避妊手術を検討することをおすすめします。

「うちの子も避妊手術を受けた方がいいのかな?」と思った方は、ぜひこちらの記事でタイミングや注意点をチェックしてみてください。

費用の目安 Estimated cost

ウサギさんの避妊手術にかかる費用は自由診療のため、動物病院によって異なります。ここでご紹介する金額はあくまで目安であり、実際の費用についてはかかりつけの動物病院にご確認ください。

また、ウサギさんの避妊手術は犬や猫の避妊手術とは異なる点も多く、動物病院によっては対応していない場合もあります。まずは、かかりつけの動物病院でウサギさんの避妊手術に対応可能かどうかをご相談ください。

通常の避妊手術の場合

  • 術前の血液検査:5千~1万円ぐらい
  • 術前のレントゲン検査:6千円ぐらい
  • 麻酔+避妊手術:3万~4万円ぐらい
  • トータル:5万円ぐらい

子宮の疾患が疑われる場合

  • 血液検査:1万円ぐらい
  • レントゲン検査:6千~1万円ぐらい
  • エコー検査:6千円ぐらい
  • 麻酔:1万円ぐらい
  • 手術:6万~7万円ぐらい
  • トータル:10万円ぐらい

もちろん病状や検査内容によって費用は変動しますが、子宮疾患を発症してからの手術は、健康な状態で行う予防的な避妊手術と比較して、身体的にも経済的にも負担が大きくなる傾向があります。

そのため、将来的な病気のリスクや治療負担を考えると、健康な若いうちに避妊手術を検討する意義は大きいと考えています。

まとめ

ウサギさんの診療に携わっていると、以前と比べて避妊手術の重要性が飼い主さんにも広く認識されるようになってきたと感じます。

それでもなお、「麻酔のリスクが心配」「手術を受けさせるのはかわいそう」「避妊手術を受ける必要性がよく分からない」など、さまざまな理由から避妊手術に不安や抵抗を感じている飼い主さんも少なくありません。

もちろん、避妊手術はすべてのウサギさんが必ず受けなければならないものではありません。しかし、子宮疾患の予防や将来的な健康リスクを考えると、若いうちに避妊手術を検討する意義は大きいと私は考えています。

この記事が、愛兎の健康について考えるきっかけになれば幸いです。

ABOUT ME
ichiroiitsuka
2006年大阪府立大学卒業 2006年4月~2020年3月実家から通える動物病院に就職 2020年4月~ 広島県三次市の動物病院に就職 現在は広島県三次市の動物病院と広島県庄原市の動物病院を行き来しながら勤務中で、趣味は筋トレと映画鑑賞 このブログでは自分の勉強したこと、筋トレ、映画などについて書こうと思っています。