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ウサギさんは可愛らしく、大きな声で鳴くこともほとんどありません。また、ワンちゃんやネコちゃんと比べると体臭も強くなく、一緒に暮らしやすい動物として人気があります。

その一方で、体調不良を隠す傾向が強く、症状が現れたときにはすでに病状が進行していることも少なくありません。また、犬や猫とは異なる生理学的な特徴を持つため、診察や治療の際には特有の注意点があります。

私はウサギ診療の専門医ではありません。しかし、日々の診療の中でウサギさんを診察する機会はあり、その都度、できるだけ安全で適切な診療が行えるよう知識や経験を積み重ねてきました。

今回は、私がウサギさんの診察を行う際に特に意識していることや、気をつけているポイントについてお話ししたいと思います。

事故を防ぐための繊細で安全な取り扱い

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これはどういうことかと言いますと、特に怖がりなウサギさんの場合、急に触れたり無理に保定したりすると、驚いて暴れてしまい、思わぬ事故につながる可能性があるということです。

ウサギさんの骨格は軽くて繊細なため、落下によって容易に骨折してしまいます。また、後肢の筋力が非常に強いため、暴れた際に自らの脚力によって脊椎の脱臼や骨折を起こしてしまうこともあります。

抱き方が不適切だったために暴れて落下し骨折してしまったり、レントゲン検査のために保定した際に脊椎の脱臼や骨折が生じた結果、脊髄を損傷してしまったりする事例は、ウサギ診療に慣れた獣医師の間でも耳にすることがあります。

飼い主さんの立場からすれば、爪を切ってもらうために来院しただけなのに、あるいは食欲が落ちたために診察を受けに来ただけなのに、その結果として下半身不随になってしまったとしたら、とてもやりきれない気持ちになることでしょう。

そのため私は、ウサギさんの診察では『できるだけ驚かせないこと』、そして『安全に保定すること』を常に意識しています。

爪切りの際に暴れてしまうウサギさんもいます。ご自宅で行うのが難しい場合は、無理をせず、ウサギさんに慣れた動物病院に相談してみてください。

ウサギさんに使用する薬剤の選択

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ウサギさんでは、一部の抗菌薬によって腸内環境が大きく乱れてしまうことがあります。その結果、体調を大きく崩し、場合によっては命に関わることもあります。

また、ステロイドに対する感受性も高く、肝酵素の上昇や免疫力の低下、消化管への負担が生じやすいという特徴があります。そのため、本当に必要な場合を除いて、ステロイドの使用にも慎重になる必要があります。

このような理由から、薬を処方する際には、ウサギさんでも安全に使用できる薬であることを確認したうえで処方しています。

処方された薬を使用した後にウサギさんの状態が悪化した場合は、無理に投薬を続けず、すぐに動物病院へご相談ください。

治療に苦労する顎の膿瘍

ウサギさんの膿瘍は、ワンちゃんやネコちゃんでみられる膿瘍とは性質が異なります。膿はチーズのように固くなりやすく、自然に排出されにくいうえに薬剤も浸透しづらいため、治療に苦労することが少なくありません

特に多いのが、不正咬合によって歯が過長となり、顎に膿瘍が形成されるケースです。膿瘍を切除したり原因となる歯を抜歯したりしても、一度の治療で完治することは少なく、長期間にわたる治療が必要となる場合もあります。

こうした歯科疾患の背景には、牧草の摂取不足など食生活の問題が関係していることも少なくありません。そのため、日頃から適切な食事管理を行うことが予防につながります。

ウサギさんの適切な食事内容についてはこちら

一度不正咬合を起こしたウサギさんでは、その後も継続的な歯科管理が必要になることがあります。定期的に動物病院で歯の状態を確認してもらいましょう。

将来の病気を防ぐための避妊手術

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ウサギさんに全身麻酔をかける際には、気道を確保するために気管挿管を行うことがあります。しかし、ウサギさんは口の開きが小さく、口腔内も深いため、ワンちゃんやネコちゃんのように気管の入り口を直接確認しながら挿管することが容易ではありません。

そのため以前は気管挿管の難易度が高いとされていましたが、現在ではv-gel®のような気道確保器具を使用できるようになり、麻酔管理の安全性は向上しています。

また、雌のウサギさんは子宮腺癌をはじめとする子宮疾患の発生率が高いことが知られています。そのため私は、生後6か月頃での避妊手術をおすすめしています。

「ウサギは麻酔のリスクが高い」と聞いたことがあり、避妊手術に不安を感じる飼い主さんも少なくありません。しかし私は、将来的な子宮疾患を予防できるメリットの方が大きいと考えています。

ウサギさんの子宮疾患についてはこちら

ウサギさんの診療で大切にしている考え方

今でこそ、ウサギさんに対しても他の動物さんたちと同じように、必要であれば採血を行い、全身状態の把握に努めています。しかし、駆け出しの頃の私は違いました。

当時の指導医から、

「相手がウサギだからといって、なぜ必要なときに採血をして状態把握をすることを怠るんだ?」

と厳しく指導されたことがあります。

その頃の私は、「ウサギさんはどこから採血したらよいのだろう?」というレベルでした。よく分からないまま、とりあえずレントゲン検査を行い、口腔内や消化管の状態を見て判断しようとしていたこともあります。今振り返ると、せっかくウサギ診療に精通した指導医がいたにもかかわらず、もっと積極的に教えを請うべきだったと感じています。

今回ご紹介した内容は、私が日頃の診療の中で意識していることの一部に過ぎません。ウサギさんの診療には、今回触れられなかったこともまだたくさんあります。

また機会があれば、ウサギさんの診療についてもう少し詳しく書いてみたいと思います。

ウサギさんの診療には独特の難しさがありますが、だからといって特別扱いをしすぎるのではなく、必要な検査や治療を適切に行うことが大切だと考えています。今後も学びを続けながら、一頭一頭と向き合っていきたいと思います。

ABOUT ME
ichiroiitsuka
2006年大阪府立大学卒業 2006年4月~2020年3月実家から通える動物病院に就職 2020年4月~ 広島県三次市の動物病院に就職 現在は広島県三次市の動物病院と広島県庄原市の動物病院を行き来しながら勤務中で、趣味は筋トレと映画鑑賞 このブログでは自分の勉強したこと、筋トレ、映画などについて書こうと思っています。