うちのワンちゃん、ここ1ヶ月ぐらいよく吐くのよね。
うちのワンちゃんは、今月に入ってからずっと下痢だわ。
点滴や投薬で治まらない嘔吐や下痢は何か重要な疾患のサインかもしれません。
ワンちゃんが変なものや、食べ慣れていないものを食べて、吐いたり下痢したりすることはよくあると思います。
でもそんな下痢や嘔吐は、点滴治療や適切な投薬治療、療法食などの支持療法があれば1週間もすれば治るのが普通です。
中年齢以降のワンちゃんで、下痢や嘔吐が長引いている場合は何かしら重要な疾患のサインかもしれません。
症状
症状は影響を受けている消化器の部位、根底にある疾患によって様々です。
胃や十二指腸が影響を受けている場合は嘔吐が生じることが多く、小腸や大腸が影響を受ける場合は下痢をすることが多いです。
嘔吐の場合は食事とのタイミングや、吐物の内容が大切になります。
何を食べても何を飲んでも嘔吐する、便が出ない、腹部を痛がるという症状の場合は消化管閉塞が疑われます。
小腸が原因の下痢の場合、回数は多くない、一回量の多い下痢が出ます。また、小腸は栄養を吸収する部位であるので、ここが障害を受けると体重が減少します。
大腸が原因の下痢の場合は、頻回で少量の下痢が生じます。
小腸も大腸も関与している場合はこの限りではありません。
原因となる部位 | 症状 |
胃や十二指腸 | 食欲不振、嘔吐 |
小腸 | 回数の多くない、量の多い下痢、痩せてくる |
大腸 | 頻回で少量の下痢 |
検査
問診では、普段何を食べているのか、下痢や嘔吐の詳細についてを確認します。
非常に安価なフードや、安価ではないけれども、アレルギー的に合っていないフードは消化器症状を引き起こす可能性があります。
また、来院時に他院で処方されている薬物(特に非ステロイド性抗炎症剤)についても確認します。
便検査では、消化管寄生虫が存在しないかを確認しましょう。
フィラリア予防をしている場合は、虫下しの成分も含まれている場合が多く、その場合は大丈夫でしょう。
肝臓や腎臓などの疾患が消化管へ影響する場合もあり、また、消化管の炎症の程度を確認する意味で、白血球数や炎症性蛋白の確認をすることも必要なので、血液検査も実施する必要があります。
胸部レントゲン検査では、心拡大がないか(心臓病の可能性がないか)をチェックし、腹部レントゲン検査では、腹腔内の腫瘍病変などの形態的な異常を評価します。
心臓の病気が嘔吐や下痢と繋がっているということはイメージしにくいと思いますが、心疾患があると消化管を含む全身の循環に影響しますので、消化器症状を引き起こすことがあります。
腹部エコー検査では、消化管の壁の異常をチェックしたり、腹腔内臓器の全体的な大きさや形態の異常をチェックします。
これまでの検査で、消化管そのものの異常の可能性が高いということになれば、内視鏡検査、もしくは試験開腹を実施することになります。
内視鏡検査では、胃と十二指腸、結腸、直腸の生検サンプルが採取可能であり、届かない範囲に病変が疑われる場合は試験開腹を実施して生検サンプルを採取することになります。
治療
治療は、検査によって判明した疾患によって異なります。
- 消化管腫瘍
- 手術や抗がん剤
- 炎症性腸疾患
- 抗生物質やステロイド、免疫抑制剤による内科治療
- 炎症性ポリープ
- 抗生物質やステロイド、免疫抑制剤による内科治療、手術
- リンパ管拡張症
- 低脂肪食、抗生物質やステロイド、免疫抑制剤による投薬治療
以上簡単に書きましたが、それぞれの疾患に対するまとめができればリンクを貼る予定です。
適切な対処にも関わらず1週間以上続く下痢・嘔吐は積極的な介入が必要!
基本的な検査を実施して、必要なら麻酔が必要な高度検査へ進む!
治療は検査結果で判別した疾患によって異なる!