ウサギの顔が腫れているときに考えるべき病気|歯根膿瘍の原因と治療
うちの子、なんだか最近顔が腫れているみたいなんです。
少し触ってみますね……この腫れはやや柔らかいですね。
このタイプの腫れは、“歯根膿瘍”といって、歯の根元に膿がたまっている状態の可能性が高いです。
歯が原因なんですか?
触診ではその可能性が高いと思います。ちなみに普段、牧草はよく食べていますか?それともペレットの方が多いですか?
そうですね、牧草はムラがあって、ペレットのほうが好きなようです。
歯根膿瘍って、治るんですか?
治療は可能ですが、ウサギさんの場合は少しやっかいで、再発しやすい病気です。
歯根膿瘍は、ウサギさんでは比較的よく見られる歯の病気で、顔の腫れの原因として頻繁に遭遇します。
特に長く飼育していると、一度は顔の腫れを経験するケースも少なくありません。
では、この歯根膿瘍とはどのような病気なのでしょうか。
検査と診断について
触診では歯が原因である可能性が高いとお伝えしましたが、顔の膨らみが実際に歯から生じた膿なのか、腫瘍などの別の可能性があるのか、レントゲン検査で腫れた部分の状態を確認しますね。
CT検査ではより立体的な評価が可能で、非常に有効ですが、CTを備え付けている設備は限られているのが現状です。
頭部のレントゲン検査では、咬合バランスの異常が確認されることが多く見られます。
また、原因となる歯の歯根が過剰に伸び、周囲の骨を溶かしているような変化が確認できる場合には、歯根膿瘍と判断します。
下顎の骨が溶けている様子が確認できます。
それに加えて、歯が伸びすぎている状態ですね。
しっかり咀嚼しないで済む生活をしていることが根本的な原因になりますから、食生活も見なおすことも重要です。
分かりました。
治療はどうすれば良いんですか?
治療について
治療は主に膿を出すことと、原因となる歯を抜くこと、ウサギさんに投与しても比較的安全な抗生物質を長期に投与することで行います。
ただ、お伝えしておかないといけないのは、ウサギさんにおける感染の治療は他の動物よりも難しいということです。
ワンちゃんやネコちゃんと比べて、ウサギさんには膿瘍治療が難しい特有の理由があります。
まず、ウサギさんの膿はチーズのように粘り気が強く、硬い性状をしているため、完全に取り除くことが難しいとされています。
また、抗菌薬の使用にも注意が必要です。腸内細菌のバランスが崩れることで体調を大きく崩してしまうことがあり、安全に使用できる薬剤が限られています。
さらに、原因となっている歯そのものの治療が難しいケースも多く、これらの要因が重なることで、再発や長期管理が必要になることも少なくありません。
加えて、膿瘍の処置には全身麻酔が必要になる場合がありますが、ウサギは気管挿管が難しいこともあり、外科的な治療自体にリスクが伴うこともあります。管挿管などが困難であるウサギにとっては外科治療自体も困難な場合が有るのです。
治りにくいということであれば、治療をしないことも選択肢になるのでしょうか?
うーん、原因が歯そのものにあるので食べるのが難しくなることがあります。
また、膿瘍があるということは感染が続いている状態ですので、全身状態に影響が出ることもあります。
そのため、治療を行わずに様子を見ることはあまりおすすめできません。
分かりました。では手術をお願いしても良いですか?
あと、費用はどの程度かかりますか?
承知しました。まずは麻酔が安全に行えるかどうかを確認するために、血液検査や全身のレントゲン検査を行います。
その結果を踏まえて、手術が可能であれば進めていきましょう。もし麻酔が難しい場合は、別の治療方法も検討していきます。
また、手術後も洗浄などの処置のために通院が必要になる場合があります。その点もあらかじめご理解ください。
費用についても、検査や治療内容に応じてご説明いたしますね。
費用について
費用は動物病院毎に違いますから、直接かかりつけ医に相談してください。
こちらではあくまで目安の費用をお知らせしますね。
血液検査・・・10000円程度
レントゲン検査・・・10000円程度
麻酔+処置・・・50000円程度
内服・・・2000円程度
あとは術後の通院で通っていただく必要もありますね。
あと、食生活も見なおさないといけないとおっしゃっていましたが、どうすれば良いのでしょうか?
ウサギさんの歯が伸びすぎるのは、あまり咀嚼しないで済む生活をしている事が原因ですから、まずは牧草をなるべく食べてもらうことが重要です。
ホームセンターなどにも牧草は売っていますし、手軽に手に入りますが、種類が限られている事が多いです。
ウサギさん用の牧草を取り扱っているネットショップでは、種類豊富に取り扱っているところが多いので、選択肢が増える点が良いと思います。
硬さなどもいろいろありますから、様々なタイプの牧草を取り寄せて、諦めずに牧草を食べるように試みてください。
分かりました。何とかやってみます。
ウサギさんの正しい食生活、興味ありますか?
簡単にまとめてみました。
ウサギさんの食生活についての記事はこちら
ウサギさんの牧草の選択についての記事はこちら
ご帰宅後は、食欲や元気の様子をよく観察してあげてください。また、傷口の状態もあわせて確認していただければと思います。
もし食欲が戻らない場合や、傷口の状態が気になる場合には、早めにご来院ください。
お大事にしてください。
ありがとうございました。
ウサギさんの歯根膿瘍は、発見が遅れると治療が難しくなることもある病気です。しかし、早期に気づき適切な対応を行うことで、状態をコントロールしながら生活していくことは可能です。
顔の腫れや食欲の変化など、気になる症状が見られた場合には、できるだけ早めに動物病院での診察を受けるようにしましょう。
- ウサギさんの歯根膿瘍は、食生活が原因で起こる
- 外科的処置、抗生物質の内服など対処法もあるが、完治は難しい場合があるので、根気よく治療する必要がある
- 食生活の見直しが非常に重要なので、牧草を食生活のメインにするように心がけてください


