猫の投薬が苦手な飼い主さんへ|獣医師おすすめの方法

今日も診察ありがとうございました。
ところで、今日はお薬が出ますか?
そうですね。お薬飲ませるの苦手ですか?
うちの子賢いからね。すぐバレるのよ。
何とか注射とかないですか?
うーん、錠剤とか、粉とか、シロップとかもありますが。
うーん、どれもちょっと飲ませられないかな。
前にやってみたことあるんだけど、泡吹いて全然だめだったのよ。
こんなやりとりをした経験はありませんか?
ネコちゃんはとても賢い動物です。一度嫌な経験をすると、次の投薬のハードルがさらに高くなってしまうことがあります。
もちろん、注射で代用できる場合もありますが、どうしても内服が必要なケースもあります。内服ができないことで、治療の選択肢が狭まってしまう可能性もあるのです。
そこで今回は、臨床獣医師としての経験から、ネコちゃんに投薬する際のいくつかのコツや工夫をご紹介します。
食欲を利用する

食事に混ぜて与える方法です。ネコちゃんの食欲がしっかりしている場合には特に有効な場合があります。
後述する「直接飲ませる方法」と比較すると、初めての方でも取り組みやすいのがメリットです。
もちろん、混ぜていてもすぐバレる場合もあります。そこで、取り組みやすいいくつかの工夫をご紹介します。
- 工夫①絶食の時間を作る
- 遊び食べするネコちゃんは結構多いように思います。つまりちょっと食べたら、そのまま食事は置いておいて遊んだりして、また思い出したように帰ってきてまた食べるというような食生活です。この場合、あまりお腹がすいていないので、食事でごまかすという方法が効きづらくなります。そこで、可能なら投薬の前に絶食の時間を作ると投薬が容易になります。朝投薬するなら、夜は絶食する。夜投薬するなら、昼から絶食するといった具合です。
- 工夫②ネコちゃんの好きなものを少量用意する
- いくらごまかすといっても、美味しいものをたくさん用意して、その一部に薬を混ぜていたら、運が良ければ食べてくれるでしょうが、最悪薬だけ残ります。それを防ぐために、ネコちゃんの好物を少量用意してください。これに薬を混ぜたものを作ってそれを食べたのを確認してから、のこりのご飯を与えるようにします。
- 工夫③オブラートを使用する
- オブラートで味をごまかすのも手です。動物用のオブラートも売られていますし、動物用ではなくても使用できるものもあります。注意点としてはキシリトールが入っているものは絶対に使用しないで下さい。それで薬を包んで、薬の味が分からないようにして、美味しいもので更にコーティングして与えてみましょう。オブラートが大きすぎる場合は、適切な大きさに切って使ってみましょう。
これらの工夫で投薬が成功する確率をかなり高めることができます。
薬を砕いてちゅーるに混ぜるのは、うまくいけばいいですが、ちゅーるにまで薬の味や香りが移って、投薬が更に困難になる可能性があるので避けてください。
直接薬を飲ませる

美味しいもので工夫してごまかしてもだめだった場合、直接飲ませることになります。
気が重たくなりますよね。分かります。ごまかして与えるよりも、直接飲ませる方がはるかにハードルが高いです。そもそも雰囲気を察知して捕まえさせてくれない場合もあるでしょう。
直接飲ませる場合にもいくつかコツがあります。ポイントはネコちゃんにとって嫌な経験にならないように工夫する事です。なるべくスムーズに事を運んで、時間をかけないようにするのが良いでしょう。
根本的な話ですが、子猫の時から捕まえたいときに捕まえられるように工夫しましょう。捕まえられるのが嫌なことではないというように感じさせてください。
- 捕まえられたらおやつをあげる
- 捕まえられたら遊んであげる
- 捕まえられたらブラッシングしてあげる
これらがうまくいってくれたら、第一ハードルクリアです。
次に薬が錠剤なのか、粉や液体なのかによってまた変わります。




- 錠剤の場合
- ネコちゃんの顔を上へ向け、利き手ではない方の手で上顎を優しくつかみ、利き手の人差し指を口の隙間に差し込んで優しく口を開けます。
- ある程度口を開けると、舌の奥の部分がくぼんでいるのが見えます。そこに向かって上から錠剤をポトッと落としましょう。これは薬の味を感じさせない工夫です。
- うまく薬が落ちたら、利き手の人差し指で押し込みましょう。しっかり押し込まないと、ネコちゃんは薬を吐き出します。
- 場合によっては、団子にできるタイプの投薬補助のおやつで包んでからのほうがやりやすいかもしれません。
- 粉や液体の場合
- 粉の場合はまず0.5ml程度の少量の水で薬を溶かしてください。
- それから薬をスポイトや注射器で吸って、犬歯と臼歯の間のスペースにそれらを少し差し込み、薬を口に注入します。
- この方法だと薬の味がもろに分かってしまうので、場合によって泡を吹いてしまってなかなか難しいかもしれません。
何度も言いますが、直接薬を飲ませるのはかなりハードルが高いです。できるなら食事やおやつに混ぜる方が好ましいでしょう。
ネコちゃんは嫌な経験を記憶します。場合によっては薬を飲まされるかもしれないと思っただけで、泡を吹いてしまう子もいます。
まとめ

ネコちゃんに投薬するのは、慣れないとかなり難しいですよね。
元気なうちは投薬することもありませんが、将来的に投薬が必要になることもあります。
そのため、元気なうちから、投薬するシミュレーションをしておくと安心です。
この記事でご紹介したのはあくまでも一般的な投薬の方法です。
ネコちゃんの性格や好みを把握しているのは飼い主さんと、かかりつけの先生です。
ネコちゃんの性格に合った投薬の仕方を、かかりつけの先生とよく相談してみてください。



