獣医師が語るウサギの避妊手術:メリット・タイミング・注意点

ウサギさんの飼育頭数は、鳴き声が大きくない、臭いがきつくない、散歩も必要ないことから、近年少しずつ増えてきています。
一方で、ウサギさんの診療をしていると、避妊手術はまだ十分に浸透していないと感じることがあります。
実は、ウサギさんに避妊手術を受けてもらうことには、健康面で大きなメリットがあります。
この記事では、ウサギさんの避妊手術について、どんなメリットがあるのか、手術のタイミング、受ける際の注意点を獣医師の立場からわかりやすく解説していきます。
ウサギさんが避妊手術を受ける4つのメリット

ウサギさんが避妊手術を受けるメリットには、性的ストレスの軽減、疾患の予防、偽妊娠の回避、望まない妊娠の回避などがあります。
- 性的ストレスの軽減
- 性成熟に達し、発情期を迎えると、雌のウサギさんはイライラしたり、噛みついたり、自分の毛を抜いたり、スプレー行動をすることがあります。このような行動は、一緒に暮らす上でトラブルの原因になりかねません。避妊手術を受けることで、穏やかに過ごせるようになります。
- 疾患の予防
- 特に子宮腺癌をはじめとした子宮や卵巣の疾患を予防できることが最大のメリットです。これらの疾患に罹患すると寿命が短くなる可能性があります。
- 偽妊娠の回避
- 妊娠していなくても、巣作りをしたり乳腺が張ったりする行動が見られることがあります。これが偽妊娠です。避妊手術を受けることで、偽妊娠によるストレスから守ることができます。
- 望まない妊娠の回避
- ウサギさんは交尾排卵動物で、交尾の刺激によって排卵し、高い確率で妊娠します。妊娠期間は約1か月で、4~7頭の子ウサギさんが生まれます。出産後すぐに次の妊娠も可能です。全ての子を引き取れる場合は別ですが、避妊手術を受けることで望まない妊娠を避けることができます。
手術に対しては、身体にメスを入れることへの抵抗や、術後の体調への不安からためらうこともあるかもしれません。しかし、子供を望まず、長く健康に一緒に暮らしたいと考える場合は、避妊手術を受けることを強くおすすめします。
ウサギさんの避妊手術はいつ受けるべき?

手術を受けるタイミングは、生後6か月から1歳くらいが適しています。
この時期は脂肪があまりついていないため、手術の難易度が低くなるというメリットがあります。
子宮腺癌の発生率は3歳頃から急激に上昇するため、それまでに手術を受けることが望ましいです。
また、元気や食欲の低下、呼吸困難などの子宮疾患の症状が現れてからでは手遅れになることもあります。そのため、3歳を過ぎていても症状がなければ、なるべく早く避妊手術を受けることをおすすめします。
安全に避妊手術を受けるために

避妊手術を受けていただく場合、以下の3つの注意点があります。
- 麻酔のリスク
- ウサギさんは胸腔が狭く、挿管が困難なため、麻酔のリスクが他の動物よりやや高くなります。麻酔による死亡率は0.73%~3%ほどで、30件から140件に1件程度の割合です。
- こうしたリスクを避けるため、術前に血液検査やレントゲン検査を受けることをおすすめします。これによりリスクを事前に把握でき、場合によっては手術を行えない可能性も判断できます。
- 手術難易度
- ウサギさんは組織がもろく、出血リスクが高いことがあります。また盲腸が大きく、これを傷つけないように注意が必要です。経験豊富でウサギの手術に慣れた獣医師のもとで手術を受けることをおすすめします。
- 術後管理
- ウサギさんは非常にストレスに弱いため、術後に食欲や元気が低下する可能性があります。この時期には、必要に応じて痛み止めや皮下点滴などの支持療法をしっかり行うことが重要です。
これらの注意点を守れば、必要最小限のリスクで避妊手術を受けることが可能です。
最後に

ウサギさんの飼育頭数は増えている一方で、ウサギさん特有の難しさから、診療を受け入れている病院はまだ少ないのが現状です。
かくいう私もウサギさんの専門医ではありませんが、日々努力し、ウサギさんのニーズに応えられるよう奮闘しています。
ウサギさんの避妊手術は難しさもありますが、メリットが非常に大きい手術です。
過度に恐れることなく、ウサギさんを受け入れてくれる動物病院で、ぜひご相談されることを強くお勧めします。
